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 注型素材の使用方法 - シリコンを使った複製(両面)


◆シリコンを使った複製(両面)
前章の片面取りのシリコン型ではどこか一方に平らな面が必要でなおかつ、塊ものの複製しか出来ません。
例えばウインカーレンズの様に裏側の形状も含めた形状の複製品を作成するためには両面取りという原型の全面にわたるシリコン型を作成する必要があります。
原型の形状によっては3面以上に分割することもあります。

(片面取り)

(両面取り)

ここではウインカーレンズのシリコン型を作成しクリアレンズを複製する方法を説明します。

右図の緑色の部分のように粘土を使ってシリコン型の上面と下面を分割する面を作成します。

右図の粘土の部分で窪んでいる部分はシリコンを流したときに凸になるので、シリコン型の上面と下面を合わせるときの位置合わせに使います。

球状の原型の場合は形状の中央部分の割りのラインをもってくる必要があるため、粘土に原型の半分を埋めてやります。

片面取りのときと同様に厚紙・段ボール・ベニヤ板・ブリキ・アルミ板などで枠を作ります。   
使用量だけ重さを測ってシリコンを取り出します。

    

取り出したシリコンの量にあわせて硬化剤を混ぜ、よく攪拌します。
攪拌後、容器を軽くたたいて泡を抜いてやります。

主剤と硬化剤を混合したシリコンゴムを刷毛などで原型表面にムラなく塗布し、原型表面の空気溜まりをなくします。
次に原型が完全に埋没するまでシリコンゴムを注入します。
 
原型の上部1cm程度にシリコンゴムを注入した後、上ぶたをつけて室温で8〜12時間以上放置すれば硬化してゴム弾性体になります。
冬と夏では気温と湿度に相当な差があり、特に冬場の作業可能時間や硬化時間は夏の2倍近くかかりますので、硬化を早くしたい場合は室温を高めにします。
 
硬化完了後、粘土を外して原型を取り除くと、シリコンゴムの上型が完成しますがこの段階では原型とシリコンゴムはまだはがしてはいけません。(隙間に空気が入る恐れがあるため)  
この上から下面用のシリコンをそのまま流し込むと上面のシリコンと流し込んだシリコンがくっついて一体化してしまいます。

これを防ぐために必要に応じ離型剤Bやクリアラッカー(離型剤代わり)などを塗布してシリコン型の表面に薄い膜を形成します。

上面のシリコンに塗った離型剤Bが乾いたら、主剤と硬化剤を混合したシリコンゴムを刷毛などで原型表面にムラなく塗布し、原型表面の空気溜まりをなくします。
次に原型が完全に埋没するまでシリコンゴムを注入します。
枠と原型をはずしてシリコン型が完成です。
最初に粘土にあけたくぼみがシリコンの位置決めとなってきっちりはまるはずです。

ただしこのままでは問題があります。
360度全方向にわたってシリコンがあるため複製品を作る際に樹脂を流し込むところがありません。

樹脂を流し込むための穴をカッターで切ってあけます。
片面だけでOKですが樹脂を入れる穴と空気を抜くためのあなと2箇所に穴をあけます。
シリコンゴムメス型に樹脂を流し込む穴を作成し、必要に応じ離型剤Bやクリアラッカー(離型剤代わり)などを塗布したあと、上面と下面をあわせてはずれないように輪ゴムでしっかり止めます。  
注型用樹脂を注入し硬化させます。
発泡ウレタンの場合は、ウレタンを注入した後、ガス抜き用のシート(新聞紙や和紙等の空気が抜ける紙)をかぶせ、ふたをしてプレスしながら硬化させます。
 
樹脂が硬化した後、シリコンメス型から脱型すると複製品の完成です。
樹脂の流し込み口と空気抜き穴の部分も樹脂で形ができているのでカッターを使って削りとります。
    

 

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