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 FRPの成型方法 - 第四章 FRPの作成手順 その1


■この章では一般的な作成手順(マスター作成〜メス型作成)を紹介していきます。

◆マスター(原型)作成

  1. 発泡ウレタン・粘土・石膏・発泡スチロール※1・木材などを使ってFRPで作成したい製品のマスターを作成します。
    原型の作成は素材にもよりますがカッターや紙やすりを用いて理想とする形を形成していきます。
  2. 原型の表面がツルツルでないとメス型を作成した際に型とFRPがくっついてしまいますのでマスターが完成したらツルツルになるように表面処理をする必要があります。

    表面処理はツルツルしてFRP用の樹脂に侵されなければよいので色々方法は考えられますが発泡ウレタン型や石膏・木材の型の場合はFRP用の樹脂を塗ったり、パテ・塗料スプレーを用いたりするのが一般的です。
    出来るだけ表面の微細な穴をなくしてしまうことがメス型のくっつきを防ぐ最良の方法です。
    発泡スチロールやスタイロフォームを使った場合は、FRP用の樹脂を塗ると溶けてしまうので発泡スチロール用の樹脂を塗る必要があります。


  3. FRP用の樹脂を塗った原型が固まったら、紙やすりの#240番ぐらいで表面を磨いてゆき、その後#400〜#800番ぐらいで研磨して仕上げます。
  4. 最後にコンパウンド(車に使う物でかまいません)を用いて表面がピカピカになるまで磨きます。

◆メス型作成

完成したマスタ−を使ってメス型を作成していきます。
メス型とはFRPで作ろうとする製品と正反対の形をしており、製品をプリンに例えるとメス型はプリンの容器にあたります。

  1. マスターへの離型処理A
    完成したマスターに対して離型剤A(HB-KEM100)を塗りこんでいきます。
    塗りこみ方はティッシュやウエスに離型剤Aを少々含ませ車のワックスを塗るようにマスター全体にまんべんなく塗り広げます。
    乾燥後、乾いたタオルやティッシュ等で拭き上げてやります。
    初めて使用するマスター型はこの作業を7〜8回繰り返します。
    この作業でマスター型表面の微細な隙間を埋め、マスターとFRPのくっつきを防ぎます。

    ※離型処理Aは車のワックス等で代用する方もいますが当方ではあまりお勧めしません。
    理由は「次の工程の離型剤Bを弾いてしまう」「離型性能が専用品に比べると劣るのでせっかく苦労して作ったマスターを台無しにしてしまうことがある」ということがあります。

  2. マスターへの離型処理B
    離型処理Aが終わったマスターに対して離型剤B(HB-PVA100)を塗りこんでいきます。
    塗り方は刷毛やエアガン等を用いて離型剤をマスターの表面に1度塗っていくだけです。
    この作業でマスター型の表面に薄いビニール皮膜を形成してマスターとFRPのくっつきを防ぎます。

  3. ゲルコートの塗りこみ
    離型剤Bの乾燥後、メス型の表面に硬いゲルコート皮膜を作成します。
    ゲルコートには表面硬度を上げて傷を防ぐ役割と表面に現れる気泡を防ぐ役割があります。
    ゲルコート(HB-GL40)硬化剤(HB-PEM100)を混ぜ、刷毛やエアガンでマスターの表面に塗っていきます。
    ゲルコートは20分〜1時間(条件による)で硬化するので硬化前に続けて次のFRPも貼り付けていきます。
    ゲルコートの色は白・黒・透明と3種類ありますが通常は白でOKです。

  4. FRPの貼り付け
    ガラスマットと樹脂をマスターに貼り付けていきます。
    表面にゲルコートを塗りつけたマスターにガラスマット(HB-GM380)をのせ、硬化剤(HB-PEM100)を適量混ぜたFRP用ポリエステル樹脂(HB-PS40)を含ませたローラー(HB-ROL2)でガラスマットに樹脂を浸透させていきます。
    樹脂が硬化する前に次々とガラスマットを重ねていきます。
    ガラスマット全体を樹脂を塗りこみますが出来る限り樹脂の量は少ない方がFRPの強度があがります。
    ガラスマットは求める強度にもよりますが通常3プライ(3枚重ね)程度あればOKです。

  5. メス型の脱型
    マスターに貼り付けていったFRPが硬化したらマスターからFRPをはがしていきます。
    FRPに傷がつかないようにゴム製のへらや布を巻いたマイナスドライバー等を使って少しずつ空気を入れていって剥がしていきます。

 

 

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